2023年のマレーシア移住、変化している対象者とその目的とは?

昨今は日本に居続けることのリスクを煽るメディア記事や、海外出稼ぎでの成功例など海外へ出ていくこと、また国内外問わず「移住」がトレンドとして取り上げられていますね。マレーシアはこれまでMM2Hビザの制度にて、海外でのんびり長期滞在したい人が多く訪れていた印象でした。しかし今、マレーシア移住の目的やその変化を感じるようになってきているので、以下に纏めてみました。

移住者のシフト

マレーシアといえば過去14年連続(財団法人ロングステイ財団の調査。2006年〜2019年)で住みたい国No1になりました。これは先に申し上げたMM2Hビザの影響が大きいと思います。元々の対象はリタイヤ/年金暮らしのシニア層。日中、仕事はせずに(MM2Hは仕事ができるビザではない)ゴルフや趣味に時間を使い悠々自適な生活を送ることができる、というものです。メディア等で、暖かい気候の中でジムやプールが付いている住居に住みながらも日本よりリビングコストを抑えられるなど、「マレーシアライフ=優雅なライフスタイル」として魅力的に取り上げられたことも少なからず影響があったと言えるでしょう。
しかし、2021年のMM2H制度の改悪もあり、新たにリタイヤされたシニア層が移住してくる話はあまり聞かなくなりました。コロナ禍のロックダウンの影響で、これまで長期滞在をしていた方々の一部が日本への帰国を選択する傾向があったのも事実のようです。

事業を検討する人の増加

一方、特に昨年においては、資産運用で経済的な自立をしている方が家族で移住する例も聞くことが増えてきました。いわゆる投資事業などを営みながら生活するということですね。
事業を検討する方の移住も多くあります。これはマレーシアの起業ビザなどの制度を活用して当地で生活をしながら事業経営をするパターンや、現地法人を設立して新規事業を推し進めるパターンなど、選択肢の広がりを示しています。

母子留学・教育

更に顕著なのは、教育移住があげられるでしょう。それこそ私がKLで最初に生活をしていた2015年に比べると日本人の教育移住者
が増えているのは明らかです。母子留学についてはこれまで日本からのみならず中国や韓国からの移住者も多く、多様な環境下で子育てできるメリットは非常に大きいようです。名高いインターナショナルスクールに通わせる選択肢の他、ローカル校の多言語教育にて自然と語学を身につけられる環境を選択することもできます。もちろん日本人学校もありますので、基礎となる部分は日本と同じような環境で過ごし、それ以外の部分でグローバルな経験を積ませてあげたいと考える親御さんも多くおられるようです。お子様と一緒にチャレンジしたいなどというお声も聞きますし、引き続き注目されている様子が伺えます。特にデサパークが人気のようで、該当地のコンドミニアムの家賃上昇にも繋がっているとか。

欧米式のインターナショナルスクールは人気を集めている

最後に

マレーシアは永住権取得のハードルが高いです。海外で永住権を取りたい方はマレーシアを離れ欧州などに移っていく例も近年では多くありました。「海外移住というのはあくまでも手段であって目的ではない」というのが私の考えでもあります。皆様に新たな手段の一つとして考えていただけるよう、今後もマレーシア移住の現状と傾向を定期的に更新していければと思います。そして、新しい出会いやご縁につながりますよう楽しみにしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
鈴木健吾

Kengo SUZUKI

NEOLIZE SEA SDN.BHD.代表。 人生の選択肢として第2の拠点をマレーシアに設立し自ら実践中。 当地のデジタルエコシステム形成に関わる民間企業、スタートアップ、投資会社、政府機関等に幅広いネットワークを持つ。拠点立上げ・組織/体制作りと運用・テック系新規事業の事業化に精通する。東南アジアをカバーする当地のVC(Venture Capital)アドバイザーも務める。クアラルンプール在住。

-日常生活